YOKKO's Blog

アラサーの仕事論、書評、ランニング

【書評】スマホ脳〜私たちはスマホ中毒である〜

こんにちは、よっこです。

 

本日はスウェーデン出身の精神科医アンデシュ・ハンセンが書いた世界的ベストセラー、「スマホ脳」についての書評を書こうと思います。

 

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一日にどのくらいスマホを触っているか自覚していますか?

もはや身体の一部と化していると言っても過言ではないスマホ、皆さんは一日にどのくらい使用しているか把握していますか?

 

私の場合、朝起きた時・通勤時・仕事の休憩時間・就寝前など、何か生活に必要な活動以外の余白の時間は全てスマホが埋めているという状態でした。(そのことに違和感を感じないほど生活の中に溶け込んでいる)

 

ここ十数年でGAFA(Google,Amazon,Facebook,Apple)を筆頭にITが生活にイノベーションを起こし、本当に便利な世の中になりました。現代に生きる私たちにとってあまり自覚はないですが、人類史上類をみないスピードで、生活様式や価値観が変化していっていると思います。

身近な例を挙げると、電車で9割近くの人がスマホのスクリーンを見ている風景は、十数年前の人たちから見ると異様に見えると思います。

 

一方で、ここまでスマホが社会に浸透している世の中ですが、スマホが人体に与える悪影響について考えたことはありますでしょうか。

 

私自身、書店でこの本を見つけた時、「スマホが身体に悪いという可能性について、今までなぜ考えてこなかったのだろう」という衝撃を受けました。

 

本書では、なぜ現代人はここまでスマホに取り憑かれているのか、どういった悪影響があるのか、どういう対策を行えばいいのかということを、精神科医の視点で提言してくれています。

 

 なぜ私たちはスマホを手放せないのか?

スマホは言うまでもなく便利で、ニュースを見たり、スケジュールを確認したり、同僚や友達とのコミュニケーションツールもになっています。しかし、必要以上にスマホを触ってしまっていることはないでしょうか。家族や友達との食事の際も、なんとなくスマホが視界に入るとLINEが来てないかとか、SNSに「いいね」されていないかなどが気になってしまう瞬間があると思います。

 

それらの原因として本書では、スマホドーパミンを量を増やし、報酬システムの基礎的なメカニズムの数々をダイレクトにハッキングしているからと提唱しています。

 

ドーパミンとは神経伝達物質の一つで、脳内報酬系の活性化において中心的な役割を担っており、何に集中するかを選択させる作用があります。

 

ドーパミンは本来、人間の本能である「新しい情報を手に入れて安全を確保したい」という欲求から分泌されるのですが、ジャンクフード、アルコール、ギャンブル、麻薬などもドーパミンを活性化させる作用があると言われており、これにより報酬系が活性化するため、中毒状態とも密接な関係にあります。

 

以下は本書からの引用ですが、あなたもこのようなドーパミンを刺激されている状況に身に覚えはないでしょうか。

会社である文章を書いている最中だとしよう。チャットの着信音が聞こえ、スマホを手に取りたい衝動に駆られる。何か大事なこと”かも”しれない。やはりスマホを手に取り、ついでにさっきFacebookに投稿した写真に「いいね」がついていないかどうか素早くチェックする。すると、あなたの住む地域で犯罪が増えているという記事がシェアされている。その記事をクリックし、数行読んだところで、今度はスニーカーのリンクが目に入る。それにざっと目を通そうとするが、親友がインスタグラムに新しい投稿をしたという通知に中断される。さっきまで書いていた文章は、すでに遥か彼方だ。

 

さらに本書の内容で驚かされるのは、シリコンバレーのテクノロジーに精通している人ほど、スマホSNSにはヘロインに匹敵するほどの依存性があると認識しており、自身や子供には使用の制限をかけているということです。

 

では、人がそこまでスマホに依存してしまった場合、具体的にどのような悪影響が出てくるのでしょうか。

 

スマホが私たちの身体に与える影響

 

本書で紹介されている影響だけでも大きく上記が挙げられています。どのような実験データを元にこれらの分析結果を出しているかは是非本書を手にとって確認して頂きたいですが、私が特に驚いたのは、これらの研究結果を算出するのに4~5年かかり、今現在判明していることは2013年~2014年頃に研究が始まったものの結果であって、今現在のライフスタイルがどのような悪影響を生むかは2024年頃にならないと分からないという点です。つまりデジタルの発展の方が、その影響の研究よりも速いと言えます。

 

当然ながら2013年頃と比べると、私たちがデジタルメディアに費やす時間は圧倒的に増えていると思います。当時のデータでここまで警鐘を鳴らしていることを鑑みると、現在の分析結果が反映される2024年頃のデータが末恐ろしいですね。

 

 本書の面白いと思ったポイント

私としてはテーマそのものが盲点を突かれたようで、すごく面白かったのですが、本書の特徴的な部分としては、人間の進化の過程と照らし合わせてスマホ社会を分析している点です。

 

私たち人類は7千万年前の類人猿 の状態から、その時々の環境に合わせて”ゆっくり”進化してきました。ポイントは”ゆっくり”進化してきたというところで、今でも狩猟採集時代の名残りが残っていることを感じます。

 

例えば当時の人類は、現代のようにスーパーやコンビニに行けばいつでも食糧が手に入ることが当たり前ではなく、一日狩りに出て食糧を手に入れられるか分からない生活を送っていました。そのことから、カロリーが高い食べ物を積極的に探す必要があり、それが生存していくための絶対条件でした。

 

 その本能が未だに遺伝子レベルで残っている現在、食糧が豊富にあるにもかかわらず私たちが高カロリーのものを好むのは当時の名残りだと思います。

 

それに比べて産業革命以降の人類の生活様式は、目まぐるしく変わってきました。特にインターネットが普及してからは、指数関数的に変化していると思います。つまり、デジタルの革新に人類の適応が追いついていない状態になっており、デジタルの革新と人類の適応の差は今後もどんどん拡大していくことが考えられます。

 

まとめ

Youtubeではあなたの視聴傾向のある動画がピックアップされお勧めに表示されたり、Webサイトではあなたの閲覧傾向のある商品の広告が表示されたり、スマホのあらゆるアプリケーションがあなたに最適化し、ドーパミンを分泌させています。

 

本書ではスマホのデメリットばかり述べられていますが、私自身スマホを完全に無くすべきだとは考えていません。(というかもう後戻りできない)

 

本書では様々な気付きがありましたが、具体的なアクションとしては、スマホを使う時間を制限し、上手く付き合っていくという意識が必要だと感じました。スマホに支配され、私たちがデジタルデバイスに適応していく必要はないのです。

 

また本書で述べられている悪影響に対する対策としては、生活に運動を取り入れたり、就寝時や勉強・作業中はスマホを別室に置くなどが効果的だそうです。

 

きっとこれからもデジタルの革新に胸躍る時代は続くと思いますが、今一度その裏側にあるリスクについても考えてみる必要はあると思いました。