【書評】早雲の軍配者〜武将よりも知将が好き〜
こんにちは、よっこです。
今回は富樫 倫太郎 著「早雲の軍配者 上・下」の感想です。
軍配者シリーズ3部作の第一部になります。(のちに「信玄の軍配者」、「謙信の軍配者」と続きます。)
ストーリーは同じく富樫先生の「北条早雲」シリーズの続きになっていますが、早雲の軍配者から読んでも全く問題ないと思います。
私自身、堅苦しい歴史小説はそんなに得意ではないのですが、青春要素もあり難なく読み進められます。
あらすじ
伊豆・相模の地を平定した北条早雲の次なる策は、周辺諸国から領地を守る次世代の指導者たちを育てること。風間一族の少年・小太郎は学問の才を見出され、早雲の直弟子として日本最古の大学「足利学校」へ送り込まれた。
若き日の山本勘助らと机を並べながら兵法・占術・陰陽道・医術・観天望気・軍陣の作法など、戦国大名のブレーン「軍配者」に必須の学問を修めた小太郎は、やがて戦場で友たちと再会する…。
(公式HPより 引用)
主人公は忍びの一族、風間党の少年、風間小太郎。真面目で心優しく家族想い。父を亡くし寺で働いていましたが、学問の才を見出されて13歳で早雲の直弟子になります。
伊豆・相模を平定していた北条早雲は当時では珍しいスタイルの大名で、自国の農民の年貢を軽くしていました。自身は統治する立場でありながら、農民の農作物のほとんどが年貢で搾取されるのがおかしいと気づく器量の持ち主。(自分は質素倹約に努め、貯蓄は民のために豪快に使います。他国を侵略する理由が、より多くの人を幸せにしたいためというのが個人的にかっこいいと思います。)
早雲は家督を嫡子の氏綱に譲るも、孫の代までの行く末を案じ、小太郎を孫(氏康)の軍配者とすべく、下野の足利学校へと送ります。
そこで後の信玄の軍配者となる四郎左(山本勘助)、謙信の軍配者となる曽我冬之助(宇佐美冬之助)と出会います。
物語後半では月日が流れ、小太郎は北条家、冬之助は扇谷上杉家の軍配者となります。北条家では第2代当主となった氏綱が父の遺志を継いで相模小田原城を中心に武蔵方面への勢力拡大を狙い始めるため、武蔵に勢力を張る扇谷上杉朝興との対決(高輪原の戦い)へと発展します。
感想
前半の足利学校で兵法を学ぶシーンはハリーポッターを連想しました(笑)。足利学校では俗世から離脱して学問だけに集中するために法名を名乗り(実際に出家するわけではない)、自給自足をしながら学生寮で生活します。
真面目で優しい小太郎、良いとこのお坊ちゃん気質の冬之助、苦労しまくり捻くれ者の四郎左が一緒に学園生活を送る場面では、青春要素満載。行く末はお互いビッグになって軍配者としてまた相見えようという約束をします。
高輪原の戦いでは、小太郎、冬之助が足利学校で習得した智力を使って衝突するのですが、やはり合戦シーンは面白いですね。
数的に不利な相手にも、地形や人員の配置によっては戦を有利に運ぶことができるのがよく分かります。
個人的には豪傑の武将よりも、軍配者のような知将の方がかっこ良いなと思いますね。(ドラマの軍師官兵衛も好きで見てました。)
まとめると、歴史小説に抵抗がある人も読みやすい内容になっていると思います。こういう作品を通して歴史や地理に関心が広がっていけば素敵ですね。
それでは最後まで読んでいただき、ありがとうございました♩